FOSS4Gって,どんな意味?

といったものの,その意味と扱い方は,千差万別かもしれませ。人によって,いろいろ思うところも違うと思います。
ということで今回は,OSGeo WikiのFOSS4Gの項の日本語訳(私家版)を作成しました。ライセンスは,CC-BY-SAです。


1. はじめに
 FOSS4Gは,「Free and Open Source Software for Geospatial(地理空間のための自由でオープンソースのソフトウェア)」の頭文字を取った略語(原文では,頭字語という単語を使っていますが,以降は『略語』という言葉を使います)です。また,OSGeo財団主催で2006年から毎年されている会議の名前でもあります。この会議はGRASSとMapServerのコミュニティを起源に持ち,2000年代初めにまで遡ることができます。近年のFOSS4GカンファレンスのWebサイトは,http://2011.foss4g.org/のように,開催年度のあとにfoss4g.orgを続けた形になっています。


2. 略語の歴史
FOSS4Gは,2004年の初めに「Free and Open Source Software for Geoinformatics」の頭字語として,GRASSとMapServerの国際化*1研究グループにより使われ始めました。
FOSS4Gという略語を定義し使用した初めの出版物は,2004年3月に大阪市立大学学術情報総合センター紀要(ISSN: 1345-4145)の,「[http://ci.nii.ac.jp/naid/110000984864:title=FOSS4G 活用のための GRASS GIS および MapServer のトレーニングマテリアル開発とそれらの国際化*2]」と題された論文でした。
この単語はその後,2004年9月12〜14日にタイのバンコクで開催された「Free/Libre and Open Source Software for Geoinformatics: GIS-GRASS Users Conference」において,「Implementation of Web Map Server Test-bed and Development of Training Material for Advancing FOSS4G Solutions」というタイトルで使用され,その後多くの他の国際・国内会議や会合で使われました。


3. foss4g.orgドメイン名の歴史
foss4g.org (そして grass-japan.org)ドメインは,GRASS 5.0とMapserverの国際化プロジェクトのアウトカムを一般に公開にするために登録されました。このプロジェクトはIPA独立行政法人 情報処理推進機構)の資金により,オークニー(株)と大阪市立大学の協力により実施されました。また,ソフトウェアの国際化(i18n)とは別に,大阪市立大学は,動作確認,テストデータの準備,サンプルアプリケーションや,ポータルサイトの構築と管理を行ってきました。主なポータルサイトは,http://www.foss4g.org/FOSS4G/http://www.grass-japan.org/FOSS4G/から利用可能です。
FOSS4Gドメインは,大阪市立大学のベンカティッシュ・ラガワン(aka Venka)氏と升本 真二氏により,2003年に登録され,プロジェクトのポータルサイトとして2004年3月に公開されました。両氏は,Free and Open Source Software for Geoinformaticsの普及において妥当な利用目的における,FOSS4Gという略語の自由な利用に制限条件をつけないという条件の下で,foss4g.orgをOSGeo財団に寄付することについて2007年10月3日に同意しました。foss4g.orgドメイン名のOSGeo財団への移管に伴い,南アフリカケープタウンで開催されたFOSS4G2008より,FOSS4Gイベントのドメイン名として利用されています。


4. FOSS4Gの運営
OSGeo財団カンファレンス委員会は,FOSS4Gを継続して運営するためのものです。FOSS4Gの運営はおおよそ2年前に始められ,前に述べたように,世界各地で開催されるようい公募されています。

4.1 現地運営委員会
実際のすべての運営は,それぞれの会議の現地運営委員会により自主的に行われており,そして,彼ら自身のすばらしい運営により,つねに素晴らしい会議が行われています。OSGeo財団は,それぞれの会議に対して行われる献身について,非常に感謝し,そして楽しみにしています。2007年以降,すべてのカンファレンスWebサイトはhttp://2010.foss4g.org/のように,共通したOSGeo URLから,年度を変えることにより,見つけることができます。

4.2 過去の会議の概要と参加者
イベント 開催地 参加者数
FOSS4G 2011 アメリカ・デンバー 914
FOSS4G 2010 スペイン・バルセロナ 869
FOSS4G 2009 オーストラリア・シドニー 436
FOSS4G 2008 南アフリカケープタウン 550
FOSS4G 2007 カナダ・ビクトリア 721
FOSS4G 2006 スイス・ローザンヌ 560
2005 OSG conference アメリカ・ミネアポリス 350
OSGIS 2004 カナダ・オタワ ~200
FOSS4G 2004 - Free/Libre and Open Source Software for Geoinformatics: GIS-GRASS Users Conference タイ・バンコック ~150
2003 Mapserver Users Meeting アメリカ・ セントポール 125
Open Source Free Software GIS - GRASS users conference 2002 イタリア・トレント 140

より最近の会議の,より詳細な情報は,以下でご覧頂けます。
https://docs.google.com/spreadsheet/ccc?key=0Al9zh8DjmU_RdEZoOUtSeVZRVWtKQzV6R2N5ekdSdlE&hl=en_GB#gid=3


5. 各地のFOSS4G会議
いくつかの現地支部は,それぞれ独自のFOSS4G会議を開催しています。たとえば,
日本では毎年,東京と大阪で行っています(一昨年からは,北海道でも行っています)
ドイツでは,FOSSGIS会議をドイツ語で行っています。
ポルトガル支部会議:SASIG 4, Guimaraes, 2011, SASIG III, Lisboa, 2010, SASIG II, Evora, 2009, SASIG, Agueda, 2008
FOSS4G North America 2013

5.1 独自会議の役割
もしも”あなた自身”の会議の運営に興味が有るのであれば,OSGeo財団カンファレンス委員会にご連絡ください。そして,ディスカッションMLで宣伝してください。OSGeo財団は常に,地域のイベントを実施するために助けの手をさしのべることが出来ます。またわれわれは,FOSS4G会議の計画と実施のための,FOSS4Gイベントクックブックを作成中です。

5.2 FOSS4G名義の使用
FOSS4Gは商標としては登録されていませんが,“地空間のための自由でオープンなソフトウェア((Free and Open Source Software for Geospatial))”という意味で長く使われてきました。ドメイン名は,元々はベンカティッシュ ラガワン氏により登録されていますが,後に,ありがたいことに,“何かを行う時に自由でオープンな地空間と関係している妥当な理由があれば,誰でも利用する事が出来る”という条件の下で,OSGeo財団に寄付されました。もし不明なことがあったら,メーリングリストでお尋ねください。

*1:Internationalizationのことで,単語の初めがI,最後がNで,その間に18文字あることからi18nと略されています

*2:Development of training material and internationalization of GRASS GIS and MapServer for advancing FOSS4G solutions

地名表記についてつらつらと。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013092802000212.html

こちらの問題について。

政府の立場としては、昔からちゃんと日本の主張に沿った物を使えといってると思う。どっかで、「日本地図を書くときは北方領土も含めるように」といった通達を見た気がするのだが、見つからなかった・・・。
ただ古くは、「昭和三十九年六月十七日付、外務省事務次官通達」というやつで、「上記立場からして、国後、択捉両島を南千島と呼ぶことは、(中略)、北方領土問題に関するわが方の立場上好ましくない。」とあり、昨日今日の問題ではないことは、理解できると思う。
http://www.ne.jp/asahi/cccp/camera/HoppouRyoudo/HoppouShiryou/19640617Tsuutatsu.htm

政府としては、自分の立場と異なる物を使っていいというわけには、行かないだろう。
そりゃ、当然だと思う。

で、今回の件は別に昨日、今日突然降った話ではなく、この4月ぐらいからづっと燻っている。例えば、以下の記事とか見るとわかると思います。
J-CASTの「NHK使用の地図に日本海と「東海」併記」の記事が酷い
 http://d.hatena.ne.jp/dambiyori/20130409/1365514928

そういう状態が続いていたんだから、それなりにチェックとリスク回避の準備、代替策の検討をすることは必要だったと思う。こちらの記事の「最終的にしかるべき方面から糾弾されるのはその団体、組織でしょうからそれなりの対応はしておくのがリスク管理としては必要ではないかと思ったりする訳です」に同意見です。
・政府のGoogleマップ禁止令に思うこと
 http://blogos.com/article/70845/


で、そんなこんないろいろで思うのは、多くのユーザーにとって「正しい地図」というのが、なんなのかということ。私人としては、日本の領土が正しく表示されていない地図を使ってはならんと、目くじらを立てるつもりはありません。ただ、国際的な場においてや、国の機関として、筋として認めることができないものがあるのも、理解できます。だから、今回の通達がそれほどおかしなものだとは思いませんでした。「地図の正しさ」というのは、やはり政治とは無関係ではいられないと思います。

あと、「Googleが使えなくなると困る!」という意見をたくさん目にしたわけですが、そのことこそが問題じゃないか、と思うのです。だって、Googleが未来永劫、今の地図サービスを続けてくれると決まってるわけじゃないのですから。

そんな風にGoogleにおんぶにだっこで、そこにあるリスクに気づかない、回避できない方が、問題なのかもしれません。


ちなみに、2008年の記事ですが、Googleの考え方は、以下の通りだそうです。
日本海か東海か――Google Earthが海洋名の記載方針を発表
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0804/10/news015.html

入門!オープンソースGIS!!!

そんなタイトルの本があったら面白いだろうなと思った、年の瀬。

オープンソースGISって、いわゆるGISとしての使い方だけじゃなくて、そのほかにも色々と知っていると役に立つというか、関わることが出来るよなと思う今日この頃なのです。
たとえば、某氏のハンズオンサイコウみたいな時にも利用できるし、ソフトの日本語化やら、改良したもののコントリビュートやら、単純にGISの使い方だけじゃなく、オープンソースならではの部分が結構ある。

ただ、GISユーザーからオープンソースの世界に入ると、そういう部分の知識が、十分じゃない気がする。いや、自分自身、そういう知識を十分に持っているかというと、そうじゃないわけだが。
だから、利用→普及→貢献みたいな流れで「オープンソースGIS入門」的な本があってもいいんじゃないかなと、思った次第。

簡単な章立てを書いてみると、

  1. How To Use(ソフトをどう使うか。いわゆるGISの入門。個人レベル。)
  2. How To Share(使い方などの知識をどう共有するか。ハンズオンなど。数人から10人程度のレベル。)
  3. How To Contribute(その成果をどう全体に還元するか。コミュニティレベル。)

とかなるかな。それぞれの章の中をどれだけ書き込めるかが、キモな訳だが。


・・・どこかこの企画、ひろってくれませんかねw

FOSS4GとOSMを使って「逃げ地図」のようなものをつくってみる!

で,私の今年のお題は,『FOSS4GとOSMを使って「逃げ地図」のようなものをつくってみる!』としてみました。とりあえず途中ですが,現状バージョンを下にアップしています。つか,かなり玄人向けですw

さて,今日中にどこまでかけることやら・・・


[23:42]できた!!!!