生臭いお話

何を血迷ったのか,珍しく地理学会に行ってきました。
なんで行ってきたのかというと,珍しく「生臭いテーマ」でシンポジウムが2つほど開かれるからだったりします。
一つは「「日本海」呼称の起源と現状」,もう一つは「これでよいのか国土の記録!――日本の地形図が変わる――」です。細かくは,こちらのタイムテーブルをご覧ください。前者には外務省の北東アジア課の人が,後者には国土地理院の測図部の人が来たりと,「浮き世? 何それ? 美味しいの?」的な学会としては人選の時点で生臭くていい感じです。

ちなみに,私は生臭いのを否定するつもりはありません。ただ,某別の学会みたいに「生臭いくないと,研究じゃない」的な感じや「生臭い方が立派な研究である」的な立場には与しませんけどね。


それはさておき,感想。

前者については,これだけ生臭いテーマを設定しておきながら,「政治的じゃなくて,科学的に」といっているのがいささか滑稽だった。だって,このテーマでシンポジウムを開いている時点で十分に政治的だし。コメンテーターの先生が言ってたけど,「科学的」にはこの問題は決着ついてるんだから。少なくとも,本当に科学的にやるんなら外務省の人間を呼ぶべきではなかった。そういうことで,ちょっとモヤモヤ感があって,あるいみ地理学会ぽくってよかったのではとw

後者については,色々とあります。
ディスカッションを含めて私なりに重要だと思った点を列挙すると,

  • 今後は,「縮尺」という概念ではなく,「精度」という概念に基づいてデータを扱うべき(デジタル媒体と,紙媒体との違い)
  • デジタルの地図情報と,紙媒体の地図情報は,それぞれ代替が利くものではない。

辺りかな。

前者に関しては,文句を言う余地はない。これは極めて重要な点である。主にデジタルなデータを扱っている人間として,注意しすぎても,十分ということは無いだろう。
問題は後者である。会場の論議では「継続性」とか「紙地図ならでは」という点が主な論点であったが,「デジタルなデータならでは」という論点が皆無だった。民間も含めて考えると,後者的なアプローチが全盛な昨今,そこまで話が進まなかったのは,ちと問題ではないかと思う。
ただ,後者のアプローチの大部分が「地理的か」というと,いささか疑問もあるわけで。GoogleやらYahooやらのAPIを叩いてWebサービスを作成するのが「地理的」かというと,正直,賛同しかねる部分もある。それはあくまで「位置情報」でしなくて,「地理情報」じゃないんじゃないの,というモヤモヤがやっぱりある。
じゃ,「デジタルな地理情報」じゃないと解らんことってなんなのってことになるのだが・・・。すみません,まだ結論出せません。ただ,その答えを出すことが,自分の仕事の到達点ではないかと思っています。


あ,あとどうでもいいけさ。教育におけるGISに普及という話をしたときに,「うちは遅れていて,○○びゅーがやっとワンセットはいりました」といっていた人がいましたが。もうばk(ry,小一(ry。いっちゃ悪いが,こんなことを言う人間が,こういう会議でコメンテーターをやっている時点で層の薄さが知れようというもんだ。その辺の深刻さを,理解できてない辺りが,一番問題なんだろうなとも思う。