電力消費を可視化するとした場合。

さて、上記の提言を読んでいて、じゃぁGIS屋としてできると事がなにかといえば、実際にどれだけの対策を打ったら、これだけの電力が削減できますよと、ということを可視化することだと思う。ということで、どういうことが可能なのか、ちょいと思考実験をしてみる。

まず、目的変数。何をどこまで可視化するのか。可能であれば全体のバランス、つまり東電、東北電の管内から、他管内に移出した場合のバランスまで考えられればいいのだが*1、ここでは電力不足が想定される東電、東北電の管内の電力消費量を説明変数とする。ただし、時間的空間的シフトが問題なのだから、東電・東北電管内をバルクでとは行かないだろう。本来であれば今回、計画停電を行う時の基準となる変電所単位でのデータが欲しいが、そんなデータが出てくるとは思えない。なので、入手可能なデータについてぐぐってみたところ、市町村別エネルギー消費統計作成のためのガイドラインについて(http://www.hkd.meti.go.jp/hokne/sui2nd_result/data1_5.pdf)なる資料を発見。ここによると、その気になると支店単位でのデータは入手可能であるらしい。あとは、市町村単位は統計書によっては乗っていることがある。少なくともそれぐらいは必要か。
ただし、空間解像度はその程度でいいとしても、時間解像度はどうするかって問題がある。少なくとも、月単位ぐらいのデータは欲しいもんであるが、それが入手可能かどうか・・・。こればかりは、実際に動いてみないとわからない。ただ、可能であれば週単位ぐらいのデータが欲しいところである。

次に説明変数。これは、結構豊富にそろってる。国土数値情報(http://nlftp.mlit.go.jp/ksj/)、平成18年事業所・企業統計調査(http://www.stat.go.jp/data/jigyou/2006/index.htm)、平成22年国勢調査http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2010/index.htm)、平成21年経済センサス‐基礎調査(http://www.stat.go.jp/data/e-census/2009/index.htm)等々など。それから気象データ。最近の電力消費にエアコンが大きく関わっているのだとすれば、少なくとも気温のデータは必要になる。問題は、気温のデー短時間解像度はアメダス等があるから結構上げられるけど、説明変数である電気消費量の時間解像度がどの程度まで上げられるか不明なので、そこが悩ましい所。おそらく時間単位、日単位は無理なので、週もしくは月単位の平均気温に落ち着くのかもしれない。

さて、その上で最終的な「どうやって」分析するかの手順。

とりあえず、現実問題として可能な方法は、市町村単位で分析することだろうと考えられる。つまり、まずはこれらのデータを市町村単位に按分したデータセットを作成が必要だろう。具体的にどういう按分が必要になるかは作業をしてみないと見えてこないだろうが、一部のデータについては単純に市町村の面積ではなく、土地利用をある程度配慮した按分が必要になるだろうと思われる。例えば、森林がすごく多くて、集落が少ない所などは、そういった偏りを配慮する必要があるだろう。その上で、分析単位毎にデータを整備する。少なくとも市町村、可能であれば3次メッシュ単位での整備が必要かと思われる。ただ、スピードを重視するのであれば、まずは市町村単位で整備することが必要なので、市町村でデータを整備したとする。

市町村でデータを整備したとすると、必然的にデータの形式はベクターになる。であれば、あとはこのデータのテーブルをRに持って行って、重回帰分析かなんかを行えば、That's all. である。ここの因子毎に原単位を決めて、ここの要素間の因果関係を見て算出する方法もあるのだが(統計モデルではなく、荒いけどプロセスモデル)、とりあえず、それを決定するまでに時間がかかるので、今回は無し。

あとは、算出されたモデルについて、いくつかのシナリオを想定して変数を変えてやり、どの程度電力消費量が変わるのかを示してやればOK。ただし、同じ東電・東北電管内でも電力消費量が多いところ、少ないところが出てくるので、場所によって効率的な節電対策が異なることが考えられる。これは、感度分析を行うことによって、どういった対策がどこで有効かを可視化することが可能だと考えられる。

さて、これを俺がやろうとした時に一番問題になるのが、電力消費量に関するデータ、つまり説明変数の入手が難しそうだという事。電力会社の支社に問い合わせるにしても、統計書を入手するにしても、海外からだと、ちょっときつい(汗
ぶっちゃけメモなんで、他の人が読んでも理解できるように書かれてはいないのですが、誰か、やってみようという猛者はいませんかね(汗

*1:実際には、人の移出等を考えると受け入れ先を考慮しないでモデルを組むのは反則なのだが