FOSS4Gを使ういくつかの理由

まぁにも関わらずTwitterを見ていたりしたら、某友人が某GISのサーバーの管理に忙殺さている状態が生中継されていた*1

そういえばと改めて考えると、「サーバーがらみのめんどくさいこと」*2QGISを本格的に使うことになった切っ掛けだったりしたわけだ。

それで、ある程度慣れてしまえばプロプライエタリ(PP)でもFOSS4Gでも同じように使えるわけだが、今では積極的にFOSS4Gを使う理由があったりするので、つらつら書いてみたりする。ただ、何年か前の生態学会で奈佐原さんがいってること(pdfファイル)とダダかぶりな気もするけど(汗


まぁ、FOSSを使っていると、みんな同じ所にたどり着くし、逆にだからFOSSを使っているんだという事で勘弁して下さい(汗


○めんどくさくない
最初にサーバーがらみのめんどくさいことと書いたけど、それ以外にもPPを使ってると、めんどくさいことが色々ある。
一つはライセンスのこと。日本の職場には某ソフトの編集機能まで含めたライセンスが4、あとその他研究機関を含め3だか5だかのライセンスがあった。圧倒的に少ないわけですよw で、どうしても使いたいときに使えなかったりすると、使ってそうな人の所に行って「ごめん、使ってる? ちょっと使っていい?」なんてやりとりをしないとけない。
これは自分が使っているときだけじゃなくて、他人に勧めるときにも関わってくる。「GISを使いたいんだけど」と聞かれたときにヘタに某GISを勧めると、その人がそういったライセンスがらみのトラブルにあったときも、結局対応しないといけない。まぁ、ソフトによっては保守契約なんかにも入ってるんだけど、結局そういうこ所に聞く前に、私の所に質問は来るわけで。
そこまで考えると、自分でFOSS4Gを使って、他人にもFOSS4Gを勧めた方が、結果としてめんどくさいことが減ると思ってる。


○いつでも、どこでも、どれでも使える
FOSS4Gは、ほとんどの場合無料で入手できるわけだ。で、これは実際に今経験しているわけだが、例えば職場が変わったり、長期出張なんて事になったとき、同じソフトを使い続けられる保証はないわけで。で、さっきのめんどくさいことの続きじゃないが、変わった職場で、「このソフト使いたいんですけど、どうするんですか?」みたいなことを聞かないといけない。
FOSS4Gなら、同じソフトを、どこでも使い続けることが出来る。しかも、無料で。実際、これはそういう場面に遭遇しないと実感しないかもしれないけど、本当にありがたいことです。さらには、個人的にはWindowsUbuntuの両方を使っているのですが、その両方で動いてくれる。これは次の利点にも繋がるわけですが、Ubuntuを初めとするLinux上で使えると、便利なことが多々あるので、とても助かります。


○大量のファイルを処理するのが楽
で、これは主にGRASSとかGDALとかPostGISとかコマンドラインから処理するソフトの場合なのですが、Linux上で使えるとシェルスクリプトを書いてやることによって、大量のファイルを処理することが楽になります。
「簡単」といわず「楽になる」と書いたのは、そのためにはシェルスクリプトを覚える必要があるからで、さすがにこれが万人に簡単だとはいえないかもしれません。でも、ファイルを変えただけで同じ処理を数十〜数百回繰り返す、しかも一回の処理に数分から数十分となると、もう微妙な間合いが大変困るわけです。
ただ、各種PPソフトにもこういった機能はもっているのですが、VBAだったり、独自のスクリプト言語だったりするので、それぞれのソフト毎に覚えないといけないわけです。これがLinux上で動くFOSS4Gであれば、とりあえずシェルスクリプトを覚えればいろんなソフトで応用が利くので、重宝しています。


○資料があったり、聞く相手がいる。
で、もうすぐGISを使い始めて10年近くになるわけですが、使っていると分からないことにぶち当たったり、プログラムを走らせるとエラーが出たりすることは、今でもしょっちゅうあるわけです*3。FOSS4Gの場合、ぶっちゃけそういうエラーの数はPPのソフトウェアより多いかも知れません。でも、エラーメッセージが出ているのならば、それをGoogle先生に聞いてみれば、大体解決法が見つかります*4
これらの資料は英語の場合が多いのですが、それでも、沢山のユーザーが英語という共通言語で情報交換をしている利点かもしれません。PPの場合、こういう情報も保守契約をしているユーザー限定のサービスになっているために、そこにたどり着くのが結構面倒だったりします*5
あと、自分がOFFですぐに聞ける人の中にはGISに詳しい人がほとんどいないのですが、FOSS4Gを通じて繋がったオンラインの人間関係の中には、自分より詳しい人が沢山います。ここまで来るとFOSS4Gを使う理由じゃないかもしれませんが、そういう参考になるものがあるというのは、ありがたいものです。


○いろんなソフトが使える
えーっと、これは本当にFOSS4Gだけじゃないですが、今年(というか、今年度)自分が仕事をする上でなかった困ったソフトはなんだと聞かれたら、GRASSとPostGISQGISとGDAL*6と答えます。このソフトはそれぞれ違うでしょうし、例えばそこにArcGISとか、EARDAS IMAGINとか、TNTMipsとか、地図太郎とか、各種PPのGISソフトウェアが入るのも当然ありだと思います。
でも、一つのソフトで1から10までこなすのではなく、いろんなソフトを使って、それぞれの得意なところを利用すれば良いと思います。そういう考え方が出来るようになったのは、FOSS4Gのソフトウェアが互いに比較的容易に連携を取れるようになっているからだと思います。
とにかく、PPだろうが、FOSS4Gだろうが、自分の必要なものを、必要なときに使えば良いのであって、そういう発想はFOSS4Gを使っていなければ出てこないだろうし、FOSS4Gを使っていることによって、育っていく考え方だと思います。


つーことで、とりあえず5つほど理由を挙げてみました。これらの前提として、「オープンソースだから」と「フリーだから」があることはいうまでもありません。つか、だからFOSS4Gな訳ですし。



あとなんだ。これは使ってる理由じゃないけど、自分が死んでも残る仕事を考えたとき、habsのデータセットは、たぶん死んでも残る。今はまだWebベースの閲覧だけど、時期が来たらタイルのダウンロードも考えたい。FOSS4Gを根付かせるってもの、一生物の仕事だろうし、いろんな人達の力を借りて、形にしたい。形になるだろうなって、予感もある。

あとは、科学者としてちゃんと残る仕事を出来るのかという事だが、どうだろ(汗 ちょっとそこだけは目処が立たないけど、まぁ、そうそう目処が立つようじゃ残る仕事じゃないだろうな、とも思う。

*1:彼が自分でつぶやいていたわけですがw

*2:OSをクリーンインストールしたあとに、ソフトがサーバーに繋がらないといとか

*3:ええ、誇張じゃなくて、しょっちゅうw

*4:日本語独自の問題だったりすると、解決法が見つからない場合もありますが

*5:グローバルなサービスではなく、国別のサービスになっているというのも、問題かもしれない・・・

*6:OGR2ORGも込み